
ミトコンドリアはイモムシのような形でおなじみの細胞小器官です。
蛍光顕微鏡で観察したときのイモムシのような形で描かれることが多いですが、ミトコンドリアはさまざまな形を取ることができますし、観察する顕微鏡の種類や顕微鏡の倍率でも見え方は変わります。

ミトコンドリアについて、知っておきたいことすべて、わかりやすく説明していきます!
ミトコンドリアの祖先は好気性細菌
ミトコンドリアが「イモムシ」のような格好をしているのも無理はありません。なにせ、ミトコンドリアは、もとは別の単細胞生物で、大昔に私たちの細胞の中に入ってきた「寄生虫」だったからです。
「寄生虫」と聞くと、体に害のあるものを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、寄生虫の多くは宿主に悪さはしません。むしろ、宿主が「寄生させておきたい」と思うような、利点があるものです。
寄生虫にとっても、宿主が死んでしまうと、また新たな寄生場所を探さなければならないし、探せなければ自分が死んでしまいます。なので、宿主を殺すなんてことはしません。宿主には生きていてもらわなければ困るのです。
このような、寄生虫と宿主のウィンウィンの関係は「共生」と呼ばれます。
私たちの先祖とミトコンドリアの先祖も「共生」したのです。このことは「共生説」と呼ばれています。
ミトコンドリアの先祖にとっては、より大きな細胞の中に居候することで、外界から自分を守ってくれる大きな細胞に守られているという利点がありますね。

では、私たちの先祖にはどのような利点があったのでしょうか?
ミトコンドリアは発電所

私たちの先祖が、なぜミトコンドリアを体内に住まわせたかというと、ミトコンドリアが私たちに「エネルギー」を与えてくれるからです。
ミトコンドリアはエネルギーを作ることができる能力を持っていました。なので、そして、それを私たちに与えてくれたのです。
ミトコンドリアは、いわば細胞の「発電所」のようなものです。
発電所で作っているエネルギーは電気ですが、ミトコンドリアが作るエネルギーは「アデノシン三リン酸」という名前です。長いので、英語名のAdenosine triphosphateを略して、ATPと呼ばれることが多いです。
ミトコンドリアがATPを作るためには、酸素が必要です。また、エネルギーが作られた後には、二酸化炭素が放出されます。そのため、ミトコンドリアの働きは「細胞呼吸」または「細胞の呼吸」と呼ばれます。
ミトコンドリアは独自のDNAを持つ
ミトコンドリアは、もともと別の生物だったため、自分だけのDNAを持っています。これを「ミトコンドリアDNA」といいます。
これは、核の中にあるDNAと物質的には同じですが、ミトコンドリアDNAの情報は私たちの遺伝情報ではありません。
あくまで、ミトコンドリア自身の遺伝情報が、ミトコンドリアDNAです。そのため、ミトコンドリアは、自身のDNAを複製して、分裂して増えることができます。