細胞の自殺「アポトーシス」- 自殺するのは生きものの自然な行為か

アポトーシスする細胞

アポトーシスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

プログラム細胞死のひとつで、特定の細胞に見られるものです。栄養が悪くなったり老化したりして死ぬ壊死(ネクローシス)とは違い、アポトーシスでは自ら細胞は死んでいきます。

たとえば、脳では、胎児の時期に多数の神経細胞が形成されますが、その後、どんどん自殺していきます。また、リンパ球も同じで、個体の身体に反応する抗体を作る細胞は、胎児の時にどんどん自殺します。

植物では、根から吸収した水を運ぶ維管束の木部は、自殺することによって道管となり、植物体を支える幹となります。

このように個体のために自己犠牲を強いられる細胞が自殺することがアポトーシスであり、アポトーシスがなかったら、個体は成長できずに死んでしまいます。小さな細胞は全体の利益のために自ら死するようプログラムされているのです。

逆に、個体に悪影響を与えるにも関わらず、生き残ろうとする細胞もあります。それが癌細胞です。癌細胞は個体の体内で増殖し続け、最終的には個体を殺してしまい、それによって自身も死する運命にあるのです。

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