遺伝子診断はどのようにして行うのか

遺伝子診断とは、遺伝する病気に関連するDNAがについて調べる診断のことです。DNA診断と呼ばれることもあります。遺伝子診断を行うことで、遺伝病へのかかりやすさや薬の効き具合を判定することができます。

多くの遺伝病が劣性ホモ

DNAは生命の「設計書」です。ヒトは全員、この設計書を2冊ずつ持っています。1冊は父方から、もう1冊は母方から受け継ぎます。設計書を1冊ずつ持った精子と卵子が受精することで、受精卵は2冊の設計書を持つことになるのです。1

多くの遺伝病は劣性(潜性)です。これは、DNAの設計書の2冊のうち1冊に遺伝病になってしまうDNA配列があったとしても、もう1冊のほうが正常ならば、異常のある設計書は「使われず」、その遺伝病にかかることはない、という意味です。

なので、父親からも母親からも遺伝病になる遺伝子を受け継いだときだけ、劣性の遺伝病にかかるのです。このような同じ遺伝子をダブルでもっていることを「ホモ」といいます。劣性の性質の遺伝病の遺伝子を2つもっている状態は「劣性ホモ」と呼ばれます。逆に1つしか持っていない場合は「ヘテロ」と呼ばれます。

優性や劣性(メンデルの法則)についての詳しい説明をすると長くなるので、興味がある方は別記事をご覧ください。

遺伝病の遺伝子はだれもが持っている

多くの遺伝病が劣性ホモの場合のみ発症するのですが、1つだけならば異常のある遺伝子をだれもが持っていると考えられています。しかし、異常があっても1つだけでは発症しないため、遺伝病の遺伝子を持っていても健康なのです。

しかも、1人5~6個以上はヘテロの遺伝病の因子を持っていると考えられています。2そのため、血縁が近い人と結婚することが法律で禁止されているのは、致死性のある遺伝病にかかりやすくなるからです。

追記・参考文献

  1. 「設計書」の1冊のことは「ゲノム」といいます。
  2. DNA鑑定 犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで』梅津和夫, 講談社, 2019
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