検出できない多重交叉について補正するための数学的関数を地図作成関数(mapping function)と呼びます。地図作成関数は、J・B・S・ホールデン(Haldane)によって考案されました。
しかし、最もよく使われている地図作成関数は、コサンビ(Kosambi)という数学者によって考案されたコサンビ関数と呼ばれるものです。
多重交叉において、なぜコンサビ関数が必要なのかは別記事をご参照ください!
コサンビ関数では、併発率が組換え率に直線比例することを仮定します。この仮定によって、次の式が得られます。
r – 2つの標識遺伝子の間の組換えの割合
m – 2つの遺伝子の間の交叉の数(検出できるものもできないものも含む)
ln – eを底とする自然対数
tanh – 双曲線タンジェント
組換え値Rは百分率(R=100r)で表され、地図距離はセンチモルガン(M=100m)で表されます。
双曲線関数とは以下の式をいいます。
簡単なコンサビ関数でも十分に実用的に使用することができます。仮定が込み入るほど正確にはなるのですが、染色体の部分によって干渉の強さが異なっていたり、交叉する頻度に変化があるので、実験においてもコンサビ関数だけで十分に利用可能といってよいでしょう。
さらに確実に染色体地図を作りたい場合、二重交叉が無視できるほど小さな部分に区切ってデータをとり、そのデータに従って地図を作ってから、全体をつなぎ合わせるよいのですが、とても手間がかかってしまいます。とくにヒトをはじめとした複雑な表現型が多い種ではそれが難しいので、地図作成関数を用いるのがよいでしょう。