なぜ暗記したくても記憶できない! 忘れるようにできている脳の仕組み

試験の前日に英単語や歴史の用語を必死に覚えたことはだれにでもありますよね。しかし、どういうわけか、覚えようとしてもまったく覚えられないですよね。これは、私たちの脳の仕組みが「記憶したらすぐに忘れる」ように作られているからです。

記憶の種類には大きく4つがあります。「エピソード記憶」「長期記憶」「短期記憶」「超短期記憶」です。

エピソード記憶は、自分が実際に経験した思い出のようなもので、会ったことのある人の顔や旅行の思い出を忘れないというような記憶です。これはほとんど忘れることはありませんよね。最も長く保存される記憶です。

長期記憶は長く保存することができる記憶で、一方、短期記憶はすぐに忘れてしまう記憶です。超短期記憶は電話をかけるためにダイヤルを回すために一時的に電話番号を覚えるときなどの記憶で、一瞬だけ保存され、すぐに忘れてしまうものです。

このように、記憶の種類がいくつもあるのは、記憶が保存される場所が異なるからです。

記憶の種類保存される場所
エピソード記憶大脳皮質
長期記憶大脳皮質
短期記憶海馬
超短期記憶海馬

なにかの情報を見たり聞いたりすると、まず脳の「海馬」という場所に情報が一時的に保存されます。しかし、一時的なので、再びそれを見たり聞いたりしなければすぐに忘れてしまいます。しかし、情報が海馬にあるうちに、再び同じ情報に触れると、その情報が海馬から大脳皮質に移るのです。食べ物を食べると、すぐにそれはエネルギーとして使われてしまい、胃や腸には残りませんよね。しかし、何度も何度もたくさん食べると、脂肪として蓄えられます。記憶もこれと似ています。

人間の記憶力には個人差がないといわれており、記憶力がいい人は「効率的に記憶をする方法」を経験的に知っているだけだと考えられています。脳の仕組みに合った記憶がしやすくなる方法を自然に身につけた人、というわけですね。なので、脳の仕組みを知れば、だれでも「記憶力を高める」ことができるということです。東京大学の池谷祐二教授が脳科学の研究で第一人者です。

記憶力を強くする
最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方黒字
記憶力を高める「夢の薬」を研究する東京大学の教授が、最新の脳科学の研究を解説しつつ、科学的に記憶力を高めるための具体的な方法を紹介しています。

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