チョウの幼虫は好き嫌いが分かれますね。かわいいという人も言えば、気持ち悪いという人も。
とくに賛否両論あるのは、アゲハチョウの幼虫ではないでしょうか。このぎょろりとした目を「かわいい」という人と「怖い」という人に分かれます。
実はこのアゲハの幼虫の「目」は目ではなく、ただの模様なのです。本当の目は前方に小さく付いている点です。
幼虫は鳥などの天敵にとって格好のエサです。柔らかくて食べやすく、栄養たっぷりなのです。
そこで、チョウやガの幼虫ができるかぎりの戦略として行った「武装」が、身体に模様をつけることです。
臆病な鳥は幼虫の大きな目を見ると、恐ろしくて逃げてしまいます。また、幼虫は緑の葉っぱに紛れているので、目が悪い鳥は幼虫に気づきません。幼虫の「目」がただの模様だと気づいたり、緑の葉っぱの中に幼虫を見つけられた賢い鳥だけがエサにありつけるのです。
毛の多いガの幼虫は毛虫と呼ばれますが、毛虫の毛も同じように天敵に「おいしくなさそう」と思わせることで、敵を寄せ付けない戦略をとっています。毛虫の場合、毛自体に毒をもっている種もありますね。
このように、やわらかくて食べられやすい幼虫は、いろいろな生き残り戦略を身につけているのです。