日本では毎年夏になるとセミが大きな声で鳴きます。しかし、アメリカでは13年や17年に一度だけ大量発生する「周期ゼミ」がいます。13や17は素数であるため「素数ゼミ」とも呼ばれています。
なぜ13年や17年の周期で大量発生するのかは長い間、謎とされてきました。そして、この秘密を解明したのは日本人の研究者・静岡大学の吉村仁教授でした。
素数は1とその数以外では割り切れない自然数です。なので、13年に1回、17年に1回だけ大量発生することで、一斉に素数ゼミ通しが繁殖を行うことができるという利点があります。
もし周期が10年と15年のセミでしたら、最小公倍数である30年ごとに交雑してしまい、周期が一定しなくなり、成虫になったときに交尾の相手に出会えなくなる確率が高まってしまいます。しかし、13と17の最小公倍数は221で、交雑の可能性は極めて低くなります。
このように、素数の周期で一斉に大量発生するのは、種を保存するという点で進化的に有利なのです。地下で長い間を過ごすセミだからこそのユニークな生き残り戦略だと思います。
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