宇宙はどれくらい広い? 宇宙に「果て」はあるのか

宇宙はどこまで広がっているのでしょうか。
この問いに、物理学は常に挑んでいます。

現在までに、宇宙に関する様々な仮説や理論が唱えられ、宇宙がどれくらい広いか、宇宙に「果て」があるかについて論じています。

ビッグバン理論

ビッグバン理論によると、宇宙は約138億年前に非常に小さく、とても熱い点から始まったとされています。それが時間とともに大きくなり、広がり、冷えて今のような宇宙になったと考えられています。

風船は最初は小さく、空気も入っていないですが、風船に空気を吹き込むとどんどん大きくなり、広がっていきます。風船が広がるように、ビッグバン理論では宇宙も始まりの小さい状態からどんどん広がっていったと考えています。

平坦な宇宙

平坦な宇宙とは、大規模に見たときに宇宙がユークリッド幾何学(通常の平面幾何学)に従うという考え方です。宇宙は直線が常に無限に伸びることができて、平行線が決して交わらない世界であると考えます。

そのため、宇宙が平坦だとすると、宇宙に「果て」はないのですが、人間が観測できる宇宙は光が時間をかけて我々のところに到達するため、限界があるということになります。

一般相対性理論やインフレーション理論からも平坦な宇宙は導かれます。

閉じた宇宙

「閉じた宇宙」は、大規模に見たときに宇宙がとある形をしているする考え方で、私たちが住んでいる三次元の空間が、さらに大きな四次元の空間に内包されて曲がっているという考え方です。

これは想像するのが難しいですが、我々三次元の生物にとっては宇宙が「平坦」に見えても、四次元的に見るとそれが「曲がっている」可能性があるというのが「閉じた宇宙」の考え方です。

「閉じた宇宙」のモデルでは、地球を一周すると出発点に戻ってくるように、宇宙全体の大きさは有限であり、どんなに遠くへ進んでも最終的に出発点に戻ってくるとされています。

マルチバース理論

マルチバース(multiverse)理論は、私たちが生活している宇宙は無数に存在する宇宙の一つにすぎないとする考え方です。

私たちの宇宙以外にも他の多くの「宇宙」が存在していて、量子力学や超弦理論など、最新の宇宙理論・物理学において、その可能性が示唆されています。

人間原理

人間原理(Anthropic principle)とは、宇宙の観測結果が私たち「人間」の存在に依存するという考え方です。

人間が存在し、人間が観測できるような宇宙の条件の下でのみ、物理法則や宇宙の初期条件を理解できると考えます。

生命が存在するためには、一定の物理学的法則が必要であるため、人間が観測する宇宙は必然的に生命を支える条件を満たすような法則に従っているとする「弱い人間原理」や、宇宙が人間のような観測者を生むように「設計」されているとする「強い人間原理」という2種類に大別されます。

人間が観測できる宇宙がなぜ生命に適した条件を持っているのかという問いに対する一つの答えとして、多くの科学者や哲学者がこの概念を引用しています。

さらに、マルチバース(多元宇宙)理論と組み合わせることで、無数の宇宙が存在し、その中で我々が存在する宇宙だけが生命に適した条件を持つ、という考え方にも発展されます。

ビッグバン理論から人間原理まで、どれもが現在の観測データや科学的知識に基づいていますが、どれも絶対的な証拠がありません。

かなり難しいテーマですが、だからこそじっくり考えて、自分なりの答えや考え方を熟考してみてください。

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