貝毒について

本来、ホタテガイやマガキやアサリ、ムラサキイガイのほか、原索動物のマボヤなどは無毒ですが、これらによって食中毒が発生しており、貝毒と総称されています。

貝毒は、「麻痺性貝毒」と賞される致死率の高い中毒と、「下痢性貝毒」と称される中毒に二大別されます。これらの貝毒を引き起こす毒素は、解が摂食した渦鞭毛藻類と呼ばれる植物プランクトンの一種や細菌などによって作られています。貝毒の多くは中腸腺と呼ばれる節足動物や軟体動物の消化管のひとつに蓄積されます。そして、加熱によってその毒性は消失しません。

麻痺性貝毒による中毒はふぐ毒による中毒に似ていて、食後30分ほどで口唇・舌・顔面にしびれや灼熱感を感じ、この症状が首や腕にまで広がるとともに、麻痺が始まり、次第に運動が不自由になります。言語が不明瞭になり、流涎・頭痛・吐き気・嘔吐がはじまり、呼吸麻痺を引き起こし、死に至ることもあります。しかし、通常12時間以内に死に至らなかったときには、やがて回復し、後遺症もないといいます。キンシバイの場合には筋肉も毒化することがあるといいます。

その有毒主成分はサキシトキシンであり、神経砂防膜でのナトリウムチャンネルを選択的に阻害し、ナトリウムイオンの透過を抑制する作用を有します。サキシトキシンの作用様式は、テトロドトキシン(TTX)に類似しており、ヒトデの致死量は0.5mg程度とされています。キンシバイにおいては、TTXによる中毒が発生したこともあります。

下痢性貝毒のほうも渦鞭毛藻類を原因とします。中毒症状は消化器系への障害だけで、食後30分~4時間で初凝視、3日ほどで回復します。後遺症はなく、死亡例も知られていません。ほとんどの二枚貝で見られます。

北海道の養殖のホタテガイについては、毎年夏頃に毒化すると言われています。牡蠣は英語でRのつく月、つまり9月から4月までは大丈夫だといわれるのもこのためです。

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