食中毒の原因と科学的に正しい食品の保存法

食べ物が食べられなくなる主な原因は、微生物、酵素、酸素、紫外線、温度、湿度によるものなど様々です。これらに注意すれば、食品はしっかりと保存できるということになります。

食中毒はなぜ起こる?

食中毒を起こす最大の原因は微生物です。微生物の他にも、食中毒の原因には自然毒や寄生虫、化学物質などがあります。食中毒の主な症状は腹痛や下痢、嘔吐や熱といったものです。

食中毒の最大の原因・微生物

微生物の代表格として細菌とウイルスがいます。細菌は基本的には害のないものが多く、腸内細菌のようにわたしたち人間の身体に寄生しているような細菌もいます。しかし、中には人体に有害な細菌もいます。

食中毒を起こすことで有名な細菌にサルモネラ菌がいます。サルモネラはニワトリの腸にいて、卵の殻に付着します。日本ではすき焼きや卵かけご飯など生卵を食べる習慣があるので、卵の殻をしっかりと洗浄しているのですが、外国では生食を前提としていないことが多いので、海外ではあまり生卵を食べない方がいいかもしれません。

逆に、日本に来た外国人はホテルのレストランの朝食などで和食を頼むと生卵が出てくることが衝撃的らしく、日本についてGoogleでも「日本の卵は安全か」という検索がよくされています。実際、買ったばかりの卵は大丈夫なのですが、ひび割れていたり、長い間放置され、冷蔵庫で保存されていない場合は絶対に大丈夫とは言いがたいものでもあります。

ウイルスは細菌よりさらに小さく、電子顕微鏡でしか見ることはできません。微生物の定義は「肉眼では観察できない微小な生物の総称」です。そのため、ウイルスは生物に必要な条件を一部満たしていないため、「生物」には含まれないことも多いのですが、ここでは「微生物」に含むことにします。

微生物は目には見えないものと書きましたが、カビやキノコ、酵母などの真菌は目に見えますね。これは、たくさんの真菌がまとまって菌糸という繊細な糸状の細胞や細胞が連なった構造をとるため、目に見えるのです。また、「微小な生物」でなくても、寄生虫によって食中毒が起こることもあります。カニに寄生するアニサキスやクドアがその例です。

食中毒を起こす化学物質

食べ物に農薬や洗剤が付着していて、それを食べることによって食中毒が起こるということは化学物質が原因の食中毒として想像しやすいですね。また、鉛やカドミウム、スズなどの人体に有害な化学物質が食べ物に付いていることもあります。

ほかにも、マグロやサンマなど赤身の魚を食べたときに蕁麻疹が出るのはヒスタミンという化学物質によるものです。また、ヘビやハチなどの動物やトリカブトやジャガイモの芽などの植物には毒が含まれていて、食中毒を起こしてしまいます。スズメバチやトリカブトのような強い毒の場合、命に関わることもあります。

食べ物を保存する方法

微生物も生き物です。なので、食べなければ生きていけません。微生物がわたしたちの食べ物を「食べる」、つまり分解して自分の栄養にすることによって、わたしたちが食べることができなくなることが「腐る」という状態です。人が食べられない状態に腐ることは「腐敗」、人にも有用な状態で腐ることは「発酵」と呼ばれていますが、現象のメカニズム自体は同じものです。

この「腐敗」または「発酵」を防ぐ方法は基本的に4つあります。

乾燥させる

食べ物の水分を抜いて乾燥させると、微生物が繁殖しにくい環境になります。微生物も生物なので、水がなければ生きてはいけません。微生物にとっての「砂漠」のような環境を作ることで、腐敗を防ぐことができます。

魚の干物や乾パンなどはいかにも保存食という感じがしますね。また肉を燻製にして保存するのもこの方法です。ほかにも、塩漬けや砂糖漬けにすることも食べ物から水分を出させることになるので、保存となるのです。

酸性にする

細胞やタンパク質には「最適pH」というものがあって、そのpHでもっともよくはたらくのです。微生物は単細胞のものがほとんどです。なので、pHの影響をもろに受けます。なので、pHを酸性にすることで微生物が繁殖しにくい環境になるのです。

密閉する

密閉すると、食品が保存できるのはあたりまえのことのように思うかもしれません。しかし、密閉することで腐敗が進みづらくなるのは、微生物が容器の中に入らないからではなく、酸素が容器の中に入らなくなるので、もともと食べ物についていた細菌が繁殖しないようにすることによって腐敗を防ぐのです。

そのため、密閉するまえに加熱をしたり、pHを調節したりすると、さらに保存の高価が高まります。そのため、缶詰やピクルスの賞味期限はとても長いのです。

低温にする

冷蔵庫や冷凍庫の中に入れることで保存できる期間が延びるますね。これは微生物の繁殖を抑えるのはもちろん、温度によって食べ物そのものの性質が変化することを防ぐからです。例えば、卵はタンパク質のかたまりですが、少し火を通すとすぐに変化してしまいますね。

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