ヌクレオチドについてわかりやすく解説!

DNAの二重らせん構造を構成している単位であるヌクレオチドは「リン酸」「デオキシリボース」「塩基」という3つの分子が結合したものです。このヌクレオチドが2列に連なってDNAとなります。

この記事では、DNAの構成要素であるヌクレオチドについて簡単にわかるように説明していきます!

ヌクレオチドの構造

では、次に、ヌクレオチドの構成要素である「リン酸」「デオキシリボース」「塩基」について、それぞれ詳しくみていきましょう。

リン酸

リン酸

まず、リン酸基がどのような構造をしているか説明します。リン酸基はデオキシリボースや塩基と比べたらとても小さい分子です。

リン酸がヌクレオチドの一部となるときは「リン酸基」となり、二重結合をしていない酸素原子の部分がそれぞれ2つのデオキシリボースと結合しています。リン酸基は負の電荷をもっており、そのためヌクレオチドも負に帯電しています。

糖の構造

デオキシリボースは五炭糖という糖の一種です。個の素原子を含むので、五炭糖と呼ばれています。

デオキシリボース

ヌクレオチドの糖の炭素には、どの炭素を指しているかわかるように「3’」や「5’」というようにダッシュをつけた番号がつけられており「3ダッシュの炭素」などと呼ばれます。1糖の炭素に「’」を用いるのは、ダッシュが付いていない数字は塩基の中の原子を表すときに用いられるからです。

糖の1’は塩基につながっており、5’の炭素原子と3’の炭素原子はリン酸基につながっています。ちょっとわかりづらいのですが、五角形からちょっとはみ出したところに5’の炭素があって、そことリン酸基(P)が結合しており、そして、同じ糖の3’のところに次のリン酸基が結合しています。糖は5’と3’の炭素にリン酸基を結合させていき、ハシゴの両側の縦軸を形成するのです。

ヌクレオチドの糖とリン酸基の結合

塩基 – アデニン・グアニン・チミン・シトシン

DNAで最も大切なのはハシゴの踏み台の部分に配列されている塩基(下図の黄色の部分)です。なぜ塩基が大切かと、この塩基こそが遺伝子を形作り、遺伝を担う情報だからです。

DNAの塩基には4種類がありますが、これはアルファベットのようなものです。アルファベットは26文字ですが、塩基は4文字しかありません。しかし、DNAはこれだけで十分すぎるほどの情報を運ぶことができるのです。

前述したように、塩基は糖の1’のところにつながっています。そして、その反対側は別の塩基につながっています。

DNAのヌクレオチド

上の図でわかるように、AとTCとGの組み合わせでつながっています。この組み合わせは一方がプリン、もう一方がピリミジンです。DNAの塩基同士はこの組み合わせのみでしかつながることができないのです。

DNAの塩基同士はジグソーパズルのように特定の塩基のみと結合する

プリンとピリミジンの組み合わせであっても、AとC、TとGはつながることはできません。これは塩基がジグソーパズルのピースのように独自の形があり、それぞれ特定の相手としかぴったりとはまらないからです。

塩基同士は「AとT」「GとC」の組み合わせでしかつながれない。なので、塩基対は「A-T」「T-A」「G-C」「C-G」の4種類どれか!

塩基対には4種類しかないと、少なく思うかもしれませんが、1000個の塩基対を持つ遺伝子は4¹⁰⁰⁰種類の配列が可能となります。これは全宇宙に存在する素粒子の数より遙かに大きいので、遺伝子はたったの4種類の塩基で多大な情報量を担うことができるのです。

塩基は大きくプリンピリミジンという2つの物質に分けられます。さらに、プリンには2種類、ピリミジンも2種類があるので、塩基は合計で4種類があります。プリンの2種類はアデニングアニンで、ピリミジンの2種類はチミンシトシンという名前です。2

イメージとしては、プリンが苗字でアデニンとグアニンという名前の人がいる、というような感じに思ってみてもらえればいいでしょう。また、遺伝学ではこの塩基の4種類がとても大切で繰り返し出てくるのですが、いちいち物質名を書くのはめんどくさいのでアデニンはAチミンはTというようにアルファベット一字で表します。

また、リン酸と糖(デオキシリボース)と塩基1個の3つを合わせた単位をヌクレオチドといいます。二重らせん構造の横に並んだ一列の真ん中から半分がヌクレオチドです。

DNAのヌクレオチドの構造

二重らせん構造を構成しているパーツとなっている物質は、リン酸、デオキシリボースと塩基で、3つ合わせてヌクレオチドと呼ばれる。塩基にはA・G・T・Cの4種類がある。

大学レベル

ちなみに、リン酸を含まない糖と塩基の分子はヌクレオシド(nucleoside)という名前で呼ばれます。これは大学レベルの生物なので、高校生はヌクレオチド(nucleotide)という名前だけ覚えておきましょう。このように、分子はなにか1つでも別の分子がくっつくと全体の名前が変わってしまうことがあります。化学のちょっとめんどくさいところですね。

ヌクレオシドはリン酸(黄色の丸)を含まない

ちなみにDNAのヌクレオチドはリン酸がひとつしかついていませんが、ヌクレオチドのリン酸基は3つまでつながることができます。高エネルギーリン酸結合でつながるATPでは3つのリン酸が結合していますね。

またDNAノヌクレオチドの段と段の距離はおよそ3.4オングストロームです。オングストロームの記号はÅで、1Åは1/10,000,000ミリメートルです。これを元に、染色体のDNAの長さを計算することができます。ヒトのDNAを伸ばしてつなぐと約2mになります。現在、世界一長いゲノムを持つというキヌガサソウは実は日本の固有種なのですが、この植物のDNAは90mもの長さになるといわれています。

DNAの大きさ

追記・参考文献

  1. 日本語では「ダッシュ」と呼びますが、英語では「プライム」です。「3ダッシュの炭素」と呼ぶのは日本だけです。
  2. DNAを形成する塩基のピリミジンは2種類ですが、実際にはもうひとつウラシルがあります。後のRNAについて述べたところで詳細を記載しています。
タイトルとURLをコピーしました