
交感神経と副交感神経は、反対のはたらきで体のホメオスタシスを保たせてくれる身体機能のことです。ホメオスタシスは日本語では「恒常性」とも呼ばれ、生物が外部環境や体内の条件が変化しても、体内環境をある一定の状態に保っていることです。
ホメオスタシスを保つはたらきのひとつが自律神経
気温や湿度が変わったり、食べ物を食べたり、運動をしたりしても、人間の体温は約37℃に保たれ、血糖値は約0.1%です。寒くなったからといって体温は低くはなりませんし、ケーキをたくさんたべたからといって血糖値が高くなることはありません。もしそうなってしまったら、それは糖尿病です。
わたしたちがホメオスタシスを保てるのは、内分泌腺と自律神経のおかげで、前者はホルモンを作る場所で、後者が交感神経と副交感神経です。
恒常性を保てるのは内分泌系と自律神経のおかげ!
自律神経 ⇒ 交感神経 + 副交感神経
ボケとツッコミのようなコンビが交感神経と副交感神経
お笑いは二人一組のコンビが多いですよね。ボケにはボケの、ツッコミにはツッコミのそれぞれの役目があります。ふたりがしっかりとそれぞれの役割を行っているから、漫才やコントが面白くなるのです。もし、ボケ役の人がずっとボケ続けているだけでツッコミが入らなければ、それほど面白いものにはならないと思います。
このボケとツッコミのようなコンビが交感神経と副交感神経で、このコンビが体内で適切に働くことでホメオスタシスを保つことができているのです。交感神経と副交感神経はそれぞれが「相反」する仕事をするのですが、その働きはまさに阿吽の呼吸です。
例えば、緊張しているときには心臓は心拍数を増加させ、体全身に酸素や養分を届けようとします。このようなときには交感神経が働いています。こういうときには気道も開いていて、たくさん酸素が取り込めるようになっていますし、肝臓がグリコーゲンを分解して、血液中の糖(エネルギー源)を高めています。逆に、副交感神経が働くと心拍数は減少、気道は狭く、グリコーゲンは合成されます。
戦闘モードのときには交感神経が働き、リラックスモードのときには副交感神経がはたらきます。脊椎動物は進化の過程でこのような自律神経の働きを手に入れました。

天敵に追われているときは交感神経が働き、素早く逃げられるように進化したのです。逆にのんびりしているときには副交感神経が働きます。敵がいないときにたくさんエネルギーを消費しても無駄ですよね。しかし、器官の働きを弱めるのが副交感神経のはたらきではありません。実際に、いくつかの器官を休めるのが副交感神経の働きではありますが、すべてではありません。例えば、消化は促進されます。敵に追われている最中に消化をして余計なエネルギーを使ったり、トイレに行きたくなったりしてはダメですよね。
例えば、リラックスするためにのんびりとリゾート地のホテルで過ごそうと思っても、実際はあまり疲れがとれなかったという経験がある方もいるのではないでしょうか。または、眠りにつきづらかったということもあるでしょう。こういうなれないところで過ごすことで、交感神経が働いてしまっているということです。
ちなみに、交感神経の末端から主にノルアドレナリンが、副交感神経の末端からは主にアセチルコリンが分泌されます。
自律神経失調症
このようにして、必要なときに必要な働きが行えるようにコントロールするのが自律神経である交感神経と副交感神経の働きですが、このバランスが悪くなってしまったときに起こってしまうのが自律神経失調症です。
自律神経は体の中の多くの器官の働きを制御しているので、現れる病状も数限りなくあります。うまく消化ができなってお腹の調子が悪くなってしまったり、夜眠れなくなってしまったり、頭痛がしたり、めまいがしたりーー。
ストレスも自律神経に関わっていると言われているので、ストレスが多い生活が続くと、自律神経が乱れてしまう可能性もあります。いろいろな病状があるので自律神経失調症は判断が難しいものといわれています。
わたしはストレスが続く生活をしていたとき、じんましんが止まらなくなったことが二度ほどあります。じんましんのほとんどが原因不明で、わたしの場合も、アレルギーもその他の心当たりもなにもないのに、ただ毎晩、リラックスしているときにじんましんが出続けました。しばらく(といっても三ヶ月以上)たったら、自然に治癒したのですが、ストレスを溜めず、自律神経を整えた生活を送るのは大切だなと思ったものです。ただし、ストレスを溜めないことが難しい世の中ではありますが…
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