性染色体モザイク – 右側はメスで左側はオスのハエが生じる理由

時々、体の半分が雄で、もう半分が雌のショウジョウバエが見つかります。このハエの雌の部分の染色体はXXで正常なのですが、雄の部分の染色体はX染色体が1本あるだけでY染色体はありません。

ショウジョウバエはY染色体が性の決定に関与しておらず、X染色体の個数で決まります。X染色体が2本の時には雌になり、1本の時には雄になります。

そのため、半分は雌で半分は雄の個体は、XX受精卵の最初の分割でX染色体が1本失われたためと考えられます。雄と雌の部分の分かれ方は、体の左右で雄と雌に分かれていることも、体の前後で雄、雌にわかれていることもあります。

通常のショウジョウバエの雄と雌
左右で雌雄に分かれるハエ
前後で雌雄に分かれるハエ

そして、卵の2回目の分割でX染色体が失われた場合、1/4が雄、3/4が雌という個体が生じることもあります。また、それ以降の卵割でX染色体が失われたときには、雄の部分がさらに小さくなります。

このように一個体が雌雄に分かれている生物は性モザイク(sex mosaic)、または雌雄モザイク(gynandromorph)と呼ばれます。

このようにはっきり分かれた性モザイクは哺乳類や鳥類ではみられません。哺乳類や鳥類では、第1次性徴、そして第2次性徴の発達はホルモンの影響を受けて発現します。ホルモンの影響が強い場合、染色体の構成ではなく、ホルモンに従って表現型が決まるものです。

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