遺伝子の発現における環境の影響

遺伝子の発現には環境の影響を受けることがあります。正常な発生のためには正しい遺伝子に加え、適した環境も必要です。多くの遺伝子産物は温度に依存しています。以下にその例を挙げてみます。

温度 – ウサギのヒマラヤ型斑に関わる遺伝子

この遺伝子はメラニン色素を支配します。対立遺伝子が劣性ホモ接合体の場合、ウサギは白色で足、尾、鼻、耳などの体の末端が黒色になります。この黒色の色素に関与する酵素は温度に非常に敏感で、正常な体温で不活性化されるので、温度の低い体の末端では形質が発現します。

太陽光 – 色素性乾皮症に関わる遺伝子

色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum)は皮膚癌を生じさせるヒトの劣性遺伝子です。ここの色素性乾皮症の遺伝子の保有者は、紫外線の影響から体を守るのに必要な酵素を生産できません。この症状は日光に当たる部分にだけ生じます。

このヒトの病気に似たものに、トウモロコシに見られるサンレッドという遺伝子があります。この遺伝子を持った植物は、日の当たる部分は赤くなり、陰になった部分は緑のままになります。

表現模写 – 糖尿病

表現模写(phenocopy)とは、環境によって引き起こされた形質が、遺伝子によって作られた表現型と類似することです。糖尿病は遺伝的なものと、膵臓の障害や感染によって起こるものの2種類があります。どちらも糖尿病ですが、遺伝的要因か、環境要因かという違いがあります。

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