【多型の種類と違い】SNP・STR・インデル多型(塩基の挿入・欠失)

ゲノム塩基の配列は種によって異なります。しかし、同じ生物種の中でも個体によって違いがあります。同種内でのゲノムの配列の違いのことを「多型」といいます。

この多型にはどのような種類があるのか、そして、それぞれがどのように違うのかを、わかりやすく説明していきます。

SNP (スニップ/一塩基多型)

SNP(一塩基多型)とは、ある生物集団のゲノムに、通常とは異なる1つの塩基に置き換わってしまい、その1塩基の変異が広く集団内に存在することです。

一塩基多型はSNPスニップといわれることが多いです。SNPはSingle-nucleotide polymorphismの略で、この英語を和訳した言葉が「一塩基多型」です。

たった塩基が1つ異なるだけですが、これにより、コドンが変化してしまい、異なるアミノ酸が翻訳されてしまいます。なので、スニップのタイプの遺伝子をもつ人は、酵素がはたらかなくなったり、特定の病気にかかりやすくなったりしてしまいます。

STR (短鎖縦列反復配列)

STR(Short Tandem Repeat=短鎖縦列反復配列)は、一定の塩基配列が繰り返されている部分の繰り返しの数が変わる変異のことです。上の図は、ATが4回繰り返されている塩基が3回に変異したときです。

STRはSNPよりもかなり起こりやすいため、DNA鑑定をはじめとする様々な場面で最も多く利用されています。ただし、突然変異が多いということは、STRを扱う際には注意が必要ということもいえるのです。

STRのほとんどは2塩基が繰り返されているものですが、犯罪捜査ではしっかりと判定を行いやすい4塩基が繰り返されている部分を選んで鑑定します。

例えば、日本の犯罪捜査でよく用いられている「アイデンティファイラー」というABI社製の判定キットでは、日本人の他人どうしの5種類のSTRがすべて偶然に一致する確率(総合同値確率)は、10-17(100,000,000,000,000,000分の1)と考えられています。日本の人口をはるかに上回る数字であるため、一卵性双生児でないかぎり、STRが一致することはないといってもよいでしょう。しかし、血縁者間や人の出入りが少ない離島などでは一致する確率が高くなってしまいます。

インデル多型 (塩基の挿入・欠失)

塩基配列に別の塩基が入り込んでしまう「挿入」や、塩基が欠けてしまう「欠失」は「インデル多型(Insertion/deletion polymorphism)」と呼ばれます。

STRやSNPに比べると起こる確率は少ないのですが、インデル多型は1塩基から1000塩基以上にわたって起こります。

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