ゲノムサイズの単位(kb・Mb・Gb)とC値パラドックスについて

ゲノムサイズの単位の読み方と数値

ゲノムサイズは核酸の長さで表されます!

長さの単位はkb, Mb, Gbで、以下のように表せます。

kbキロベース10³ヌクレオチド
Mbメガベース10⁶ヌクレオチド
Gbギガベース10⁹ヌクレオチド

ゲノムサイズが最も小さい生物

バクテリオファージMS2はゲノムサイズが最も小さいウイルスのひとつで約4000ヌクレオチド(4kb)です。ただし、ウイルスであるため「生物」と呼べるかは微妙なところです。

生物の種の数は870万種ともいわれており、すべての生物のゲノムサイズを調べることは難しいものです。原核生物のゲノムサイズはウイルスのゲノムよりもかなり大きくなっており、たとえば超高熱性海洋メタン菌(Methanococcus jannaschii)のゲノムサイズは1.6mbです。

ウイルスのゲノムは通常100~1000kb, 細菌のゲノムは1~10Mbです。ちなみに、人工的に作られた合成生物「syn3.0」は遺伝子数は473個、ゲノムサイズは0.5Mbです。

真核生物のゲノムサイズとC値パラドックス

真核生物のゲノムサイズは、原核生物のゲノムサイズよりもさらに大きくなっており、100~1000Mbです。最も小さな真核生物のゲノムは10Mb程度で、たとえば 出芽酵母のゲノムは12Mbです。

しかし、真核生物のゲノムサイズは近縁な種であっても大きく異なることが多いです。このゲノムサイズのこの違いはすさまじいもので、日本のトラフグ(Takifugurubripes)のゲノムサイズは400Mbであるのに対して、サンショウウオの一種であるフタユビアンヒューマ(Amphiuma means)では90,000Mbです。このように、近縁の種であっても、まったく異なるゲノムサイズを持つ種が多いのです。

原生動物(原虫)の種間ではゲノムサイズが5800倍異なり、節足動物では250倍、魚類では350倍、藻類では5000倍、被子植物では1000倍の違いがあるといわれています。

C値パラドックス

生物が複雑であるとこと、生物のゲノムサイズとの間に関係がないことは「C値パラドックス(C-value paradox)」といいます。

C値とは、減数分裂などによって生じる単相(n)のときのゲノムのDNA量のことです。このC値と生物の代謝や行動などの複雑さには関係がない、というのが「C値パラドックス」です。

上のトラフグとサンショウウオの例でいうと、C値は225倍違いますが、どちらも脊椎動物であり、遺伝子の数の差があるとも考えられてはいません。ただし、トラフグのゲノムのタンパク質をコードする部分がは、サンショウウオのものよりも非常に大きな割合を占めているという違いはあります。

イネとトウモロコシの間にも、C値パラドックスが存在しています。イネもトウモロコシも遺伝子の数はほぼ同じだというのに、トウモロコシのゲノムの大きさは2400Mbで、イネは390Mbです。約6倍もゲノムサイズが大きくなっています。

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