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進化には高等も下等もないのですが、ここでは慣例に従って、わたしたちが花屋で目にしたり農場で栽培されていたりするような植物を「高等」と述べておきます!
一般に、高等植物では単相が簡略化されています。雌雄同株の植物は多く、これらは卵子も花粉もどちらも作ります。自家不和合性のものもあるので、一概に、1株だけで受粉できるとは限らないものですが、ここではそのような条件は無視して高等植物のライフサイクルについて考えてみます。
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この記事では、トウモロコシを例にとってお話していきたいと思います!
- 雌性配偶体と雄性配偶体
- 受精
- 三倍体はいろいろな意味で便利
雌性配偶体と雄性配偶体
雌雄同株のトウモロコシの花は植物の一番上にあって、そこに花粉がついており、わたしたちが食べる部分が雌しべ、つまりのちのち種子になります。減数分裂がこの二カ所で行われ、単相の雌性配偶体と雄性配偶体が作られます。
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減数分裂のあと、単相の雌性配偶体の核は3回、細胞分裂します。そして、全部で8つの核をもつようになります。同じく単相の雄性配偶体、つまり花粉の核は、まず1回細胞分裂し、そのあとで、2つに分かれたうちの1つだけがもう1回細胞分裂します。そして、全部で3つの核をもちます。
雌性配偶体は3回細胞分裂 ⇒ 8個の核
雄性配偶体は2回細胞分裂 ⇒ 3個の核
受精
雄性配偶体の2つのうち、1つが雌性配偶体の核と合体して複相の胚を作ります。そして、もう1つの雄性配偶体の核が雌性配偶体の中央部分の2個の胚と合体して胚乳を生じます。このため、胚乳は3組の染色体をもつのです。母方から2組、父方から1組の三倍体ということになります。
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三倍体はいろいろな意味で便利
トウモロコシは遺伝の研究に頻繁に用いられます。基本的に、トウモロコシの種子の色と形は胚乳によって決まります。胚乳が三倍体なので、胚乳を研究すると、3つの遺伝子について研究ができます。通常は2つなので、そういう意味でこの三倍体の胚乳は便利なのです。
しかし、生殖的観点から考えると、三倍体の胚乳は減数分裂ができず、遺伝子を子孫に受け継ぐことはできません。わたしたちが食べるバナナに種がないのも三倍体だからです。二倍体のバナナは食用には向きません。胚乳は胚の発育の初期に栄養を供給することで、わたしたちはその栄養のたべの三倍体の個体を食べているのです。
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ライフサイクルの例外としてゼニゴケのサイクルも研究上重要です。ぜひ下の記事もご一読ください!