DNA複製装置についてわかりやすく解説!

DNAの複製にはたくさんのタンパク質が大きな酵素複合体を形成して、一団となって働いている

DNA複製にはたくさんのタンパク質が関わっており、それぞれのタンパク質が自分の役目を果たすことによって大きなDNA複製装置を形成しています。

この記事では、DNA複製の過程で役割を担っている酵素やタンパク質をすべて網羅し、DNA複製が進行する過程を説明していきます!

DNAヘリカーゼ (DNA helicase)

DNAヘリカーゼとDNAトポイソメラーゼ

DNAヘリカーゼは二本鎖のDNAを開いて、DNAの合成ができるようにする役割があります。ヘリカーゼはATP加水分解のエネルギーを使って前進し、DNA鎖をほどいていきます。

DNAヘリカーゼが前進していくにつれ、その進行方向にあるDNAの二重らせんが、どんどんきつく巻き付いてしまいます。前方のDNAが巻きすぎてしまうと、二本鎖のDNAはほどきづらくなり、DNAヘリカーゼが前に進めなくなります。

そこで登場するのがDNAトポイソメラーゼです!

DNAトポイソメラーゼ (DNA topoisomerase)

DNAトポイソメラーゼ

DNAトポイソメラーゼは二本鎖に切れ目を入れる役目をもつ酵素です。二重らせんが巻き付きすぎると、DNAトポイソメラーゼが切れ目を入れて、一時的にねじれを緩めます。そして、その後、再び切れ目をつないでから、トポイソメラーゼはDNAから離れます。

DNAポリメラーゼ (DNA polymerase)

DNAポリメラーゼ

DNAポリメラーゼは鋳型となるDNAの塩基に相補的になるヌクレオチド付加していく役割があります。DNA合成の主な働きを担うのがこのDNAポリメラーゼです。DNAポリメラーゼについては別記事で詳しく解説しています。

DNAポリメラーゼは酵素(タンパク質)の一種です。ポリメラーゼとは、核酸(DNAとRNA)の合成を触媒する酵素のことです。よって、DNAを複製するタンパク質はDNAポリメラーゼで、RNAを合成するタンパク質はRNAポリメラーゼと呼ばれます。...

一本鎖DNA結合タンパク (single-strand DNA-binding protein)

一本鎖DNA結合タンパクは、その名の通り、一本鎖のDNAに結合するタンパク質です。

DNAヘリカーゼによって二本鎖DNAは開かれるのですが、開いた部分はDNAポリメラーゼによって正しいヌクレオチドが付加されるまで開いたままになっておかなければなりません。DNAが収まっている核の中ではいたるところにヌクレオチドが漂っていて、それらの自由なヌクレオチド(free nucleotide)と結合してはいけません。

そこで、新しいDNA鎖にDNAポリメラーゼが正しいヌクレオチドを付加させるまで、ヘリカーゼが開いた一本鎖DNAを開いたままにしておくために一本鎖DNA結合タンパクが働きます。一本鎖になったDNAにこのタンパク質が結合することで、開いた塩基は自由なヌクレオチドと対をつくれず、一本鎖DNAを伸びた状態のままキープすることができるのです。

滑る留め金 (sliding clamp)

滑る留め金と呼ばれるタンパク質があります。これは、DNAポリメラーゼをDNA鎖にとどめておく留め金の役割を果たします。また、DNAポリメラーゼと一緒にDNA鎖に沿ってスライドしていくので、滑る留め金と呼ばれています。

滑る留め金でくくりつけておかないと、DNAポリメラーゼはDNAの合成を始めても、すぐに鋳型DNAから離れていってしまいます。なので、DNAの周りに環をつくっている滑る留め金でしっかりとつながっていて、一緒にDNA上を滑る必要があります。

留め金接着タンパク (clamp loader)

滑る留め金がしっかりとDNAに取り付けられているための「接着剤」として、留め金接着タンパクというタンパク質が必要です。

この滑る留め金の接着作業にはATPの加水分解をしてエネルギーを得て行います。リーディング鎖では、連続的にDNAの合成が行われるので接着は1回でよいですが、岡崎フラグメントがつくられるラギング鎖では、新しい岡崎フラグメントがつくられるたびに、滑る留め金が付け直されます。

DNAプライマーゼ (DNA primase)

DNAポリメラーゼはプライマーと呼ばれるDNA合成の開始点がなければDNAの合成を開始できません。プライマーの正体はRNAの断片で、これはプライマーを必要としないRNAポリメラーゼによってつくられます。このようなプライマーをつくるRNAポリメラーゼのことはプライマーゼと呼ばれます。

複製フォークに形成されるDNA複製装置

DNA複製装置

この記事で見てきたように、たくさんのタンパク質が「部品」となって、大きな「機械」である複製装置(replication machine)が形成されています。この複製装置はある場所は、ほどけた鋳型DNA鎖の左右にY字型となって形成されるので「複製フォーク」と呼ばれています。

鋳型となるDNAにたくさんの複製フォークが同時に形成され、それらが左右に動いて複製を行っていくことによって、効率よくDNAは複製されます。

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