連鎖、交叉、組換え – メンデルの分離の法則に従わない遺伝

ニワトリのとさかと脚の長さは連鎖している

この記事ではメンデルの独立の法則の例外である連鎖や交叉についてお話しています!

ここでは、ニワトリの遺伝についての実験を例に取り上げ、メンデルの法則に従わない例について考えていきます。

ニワトリの足の長さと鶏冠とさかの種類を決める遺伝子

ここでは2つの遺伝子について考えます。1つはニワトリの足の長さを決める遺伝子、もう一つはとさかの種類を決める遺伝子です。

足の長さを決める遺伝子C

ニワトリの足の長さを決定するCという遺伝子があります。Cをもっているニワトリは足が短くなります。こういうニワトリは匍匐ほふく鶏(creeper)と呼ばれます。ほふく前進の「ほふく」ですね。またCの遺伝子がホモ接合体である場合、そのニワトリは死んでしまいます。

匍匐前進

そして、Cの対立遺伝子であるcをもっているニワトリは普通の長さの足になります。この記事ではこのニワトリを正常脚と呼ぶことにします。

とさかの形を決める遺伝子R

ニワトリのとさかにはいくつかの種類がありますが、ここでは単冠とバラ冠という2つのとさかについて考えます。

単冠とは、わたしたちが「とさか」と聞いて、よくイメージするようなとさかです。一方、バラ冠は頭の前にボコボコとした多数のコブのかたまりみたいなのがあり、後ろのほうに角のようなかたちのものが突き出ている形のとさかです。

単冠のニワトリ
バラ冠のニワトリ

ニワトリをバラ冠にする遺伝子はRです。遺伝子Rをもたず、その対立遺伝子であるrだけをもつニワトリは単冠になります。

バラ冠・正常脚と単冠・匍匐鶏の交配

バラ冠で正常脚である系統のニワトリと単冠で匍匐鶏である系統のニワトリを交配してみます。

すべての遺伝子型がRrCcになる

そして、それから生じたバラ冠・匍匐鶏(RrCc)の雑種を単冠・正常脚系統(rrcc)に 検定交雑 しました。もしこれが、メンデルの遺伝に従うのならば、以下のようになります。

つまり、4つの表現型が1:1:1:1で発現されるはずです。

しかし、この検定交雑で得られた子供の数は、独立の法則から考えた上記の予想とは大幅に異なる子供の数になりました。実験結果は以下のとおりです。

連鎖による分離の法則の不適用

上記のような実験結果になったのは、RとCの遺伝子が同一の染色体上にあるからです。遺伝子が同じ染色体にあるときは、遺伝する際に一緒に行動します。Rとcは同一の染色体上にあり、rとCも同一の染色体上にあったのです。なので、これらは分離をせずに遺伝するため、メンデル性遺伝とは異なる表現型の比で発現したのです。

RとCの遺伝子が同一染色体上にあり、減数分裂の際にも一緒に行動するのですが、ほんの数%といえども、なぜバラ冠・匍匐鶏のニワトリと単冠・正常脚のニワトリが生じたのでしょうか。これは交叉という現象によって説明ができます。次項ではそれについて考えてみましょう。

交叉によって組換えが起こる

交叉とは、減数分裂のときに、相同染色体の間で部分交換が行われることです。乗換えともいいます。RとCの遺伝子は連鎖していますが、それは完全でhな悪、交叉によって離ればなれになることもあります。

交叉が起こって新たな組み合わせの染色体が作られる

相同染色体は減数分裂の際に、対合という並列に並ぶ動作をします。このときに、対応する部分(キアズマ)で切れ、相同染色体同士の一部が交換されます。

この場合、今までにはなかった「RC」「rc」という2つの組み合わせができることになります。そのため、わずかながら、RrCcやrrccという組み合わせの遺伝型も存在することになったのです。

交叉が進化において重要な理由

交叉によって、染色体上にある遺伝子が、別の相同染色体にある対立遺伝子と連鎖することが可能になります。相同染色体上の複数の遺伝子が混ぜ合わされることになります。そして、これは有性生殖の利点が同一染色体対の上にある遺伝子群に及ぼされるということです。

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