体細胞分裂について超絶わかりやすく解説!

細胞分裂とその過程についてわかりやすくまとめてみました!

細胞分裂は染色体が鍵を握る!

染色体 = DNA」と思っている人もいるかもしれませんが、これでは100点中40点です。

染色体についてしっかりわかったら、体細胞分裂の7割は理解したと思ってOKです!

「染色体 = DNA」と思っている人もいるかもしれませんが、これでは100点中40点です。体細胞分裂を理解するためには、まず染色体についてしっかりと知っていなければなりません。

染色体とはDNAがまとまって束になったものです。この束(染色体数)が何本あるかは生物によって異なっています。

ヒトの場合、一部の生まれたときから染色体に異常がある場合を除いて、全員が染色体を46本持っています。

わたしたちの46本の染色体には「ヒトの作り方」の情報が入っています。つまり、染色体は「ヒト」を作る「設計書」だと思ってください。

染色体は「ヒトの作り方」というタイトルの設計書ですが、ヒトを作るには、たくさんの情報が必要なので、設計書は1巻では足りません。46巻も必要です。これが染色体が46本という意味です。

ショウジョウバエの染色体の数は8本、チンパンジーはヒトよりも多い48本、魚のコイは100巻の「設計書」が必要です。

そして、この設計書の全巻セットは、すべての細胞にそれぞれ1セットずつ入っています。

大人の細胞の数を全部合わせると60兆個程度になると考えられていますが、この60兆個すべての細胞の核に46本の染色体が入っています。なので「60兆×46」本の染色体を、わたしたちは持っているのです。

これは、2,760,000,000,000,000(2760兆)本です。かなりの本数ですね。

細胞分裂が起こっていないときは、染色体はまとまってはおらず、核の中に糸のような状態で入っています。細胞分裂のときだけ、アルファベットの「X」のような形にまとまります。

細胞分裂が起こる前の染色体の様子

体細胞分裂は染色体の数が変わらない細胞分裂

染色体についてわかったところで、次は、体細胞分裂について学んでいきましょう!

体細胞分裂を一言で説明すると「染色体の数が変わらない細胞分裂」のことです。

ヒトの場合、まず、46本の染色体がコピーされて2倍の92本分になります。そして、これが2つにわかれて元の細胞と同じ42本の染色体の細胞が2つできます。これが体細胞分裂です。

ちなみに「体細胞」とは、生殖細胞以外の細胞のことです。体のほとんどすべての細胞と思ってください。

体細胞分裂とDNAの量(染色体の本数)

細胞分裂には体細胞分裂のほかに「減数分裂」という特別な細胞分裂もあります。この減数分裂では染色体の本数が半分になります。

減数分裂を理解するためには、体細胞分裂についてしっかりと知っておかなければなりません。

学校でまだ減数分裂について習っていない人は、今しっかり体細胞分裂を理解しておきましょう!

体細胞分裂の過程

ここからは、体細胞分裂がどのような順序で起きるか、その過程について学んでいきます。

細胞分裂は染色体に注目です。細胞分裂でしっかりと本数まできちんと分裂するのは染色体だけで、他の細胞小器官や成分はランダムに2つに分かれます。なので、染色体だけに注目すればOKです。

では、それぞれの段階を個別に見ていきましょう!

細胞周期

細胞周期

細胞は、細胞分裂が行われる「分裂期(M期)」と細胞分裂が行われていない「間期」を繰り返しています。これを細胞周期といいます。

間期 → 分裂期 → 間期 → 分裂期 → 間期 →

細胞周期は細胞の種類によって異なりますが、ほどんどの細胞で18~24時間です。M期が最も短くて、30分から2時間です。

間期

間期は「核が見える期間」です。間期の核の中で、DNAが合成されて、DNAの量が2倍になります。染色体は長い糸状になって伸びてばらばらに核の中をただよっているので、光学顕微鏡(学校にあるような顕微鏡)でははっきりと見ることはできません。

間期の細胞

間期は、G₁期・S期・G₂期と、核の中で何が行われているかによって、さらに3つに分けられています。

分裂期 (M期)

分裂期(M期)は細胞が実際に分裂する時期です。分裂期は、体がどのような動きをするかによって、前期・中期・後期・終期の4つの段階に分けられています。

前期

体細胞分裂 前期

前期は、有糸分裂の中で最も長い期間です。前期に、染色体が凝縮して、太く、短くなります。染色体の「糸」がまれて「ひも」になる時期だとイメージしてください。

「ひも」になった染色体は「染色分体」とよばれます。間期にDNAが合成されて2倍になっていましたね。そのため、染色体が重複していて、中央でつながっているアルファベットのXのようなかたちをしています。

染色体(青)と染色分体(赤)

前期が終了する頃には、核小体が消失し、核膜もなくなります。そのため、細胞分裂をしている細胞では核が見えません。

また、動物細胞では、中心体が2つに分離して、正反対方向に移動していきます。教科書では「両極に移動する」と書かれているかもしれません。

生物学では「細胞」を「惑星」になぞらえて説明する

生物学では、細胞を「1つの惑星」に見立てて、記述をする場合があります。

地球では「両極」は「北極」と「南極」ですね。地図では、基本的に北極が上、南極が下にありますが、宇宙には上も下も区別がないので、正確には北極は上にあるわけではありません。

これと同じで、細胞にも上下はありません。なので「両極に移動する」と書くことで、地球における北極と南極の位置関係のような、正反対の極に移動するということを表しているのです。

次の中期では、「赤道面」が出てきます。

細胞分裂を勉強するときは、細胞1つを地球になぞらえて想像しながら理解していくと、わかりやすいかもしれません!

中期

体細胞分裂中期

中期では、染色体はさらに太く短くなり、赤道面に並びます。細胞を地球だと想像してください。赤道に沿って地球を切った面に染色体が並んでいるという状態です。

前期に核膜がなくなっているので、染色体は一面に並ぶことができます。

中期のはじめには、中心体を基点として、星状体が形成され、紡錘糸が伸びていき、紡錘体が形成されます。

中心体、星状体、紡錘糸、紡錘体… ややこしいですね。。。

ゆっくり説明していきます!

紡錘糸は中心体からのびている1本1本の糸のことです。

体細胞分裂では、この紡錘糸という構造が形成されて核が2つに分かれます。このような細胞分裂は「有糸分裂」と呼ばれます。

紡錘糸はこれはわかりやすいですね。わかりづらいのはそのほかです。

「○○たい」というときの「体」は「構造体」「存在」という意味です。「知的生命体」とか「運命共同体」と言うときは、「知的な生命のある構造体」だったり「運命を共同する存在」だったりと、しっかりとした名前がない「もの」に対して使いますよね。これと同じ感覚です。

星状体は「中心体から四方八方に伸びている星のような構造体」のことです。中心体の近くで紡錘糸が伸びはじめている場所が星のように見えていて、この構造のことを星状体と呼びます。

紡錘体は紡錘糸が伸びてアメフトのボールのような形になった全体像のことです。「紡錘」とは「糸をつむぐつむ」のことで、この錘が、アメフトのボールのような形をしているため、紡錘体と呼ばれます。

「紡錘体」という名前を決めた生物学者は、なんでこんな難しい名前をつけたんでしょうね…

中心体は「細胞分裂のときに星状体や紡錘糸や紡錘体ができる中心になるような構造体」のことです。細胞分裂のとき以外にも、鞭毛が伸びる場所になったりしています。いろいろなものの起点になっているのが「中心体」です。

紡錘糸とちがって、「中心体」はかなりシンプルなネーミングですね。シンプルすぎて、記憶に残りづらいかも…

後期

体細胞分裂 後期

後期は、DNA量が2倍になっている染色分体が2つに分かれ、細胞の両極へ移動する時期です。

このとき、染色体は紡錘糸によって引っ張られます。こうして、染色分体は2つにわかれ、通常の染色体(DNA量1倍)に戻ります。

終期

体細胞分裂 終期

終期には、両極に移動した染色体の「ひも」がほどけて「糸」の状態に戻ります。糸がばらばらになったら困るので、染色体の周りには、再び核膜が作られ、核小体も形成され、核が見えるようになります。

一方、染色体を両極に引っ張る役目を終えた紡錘体は消失します。

終期では、細胞分裂の最終段階である「細胞質分裂」がはじまる時期でもあります。

細胞質分裂

細胞質分裂では、文字通り、細胞質の部分が分裂します。

動物の細胞では細胞の表面にできたくびれがどんどん深くなっていき、ついには2つの細胞に分かれます。植物の細胞では、ふたつの細胞の間に細胞壁が形成されます。

体細胞分裂では、新しくできる2つの細胞は、それぞれきっちり46本ずつ染色体をもちますが、他の細胞小器官の数はランダムに分かれます。

つまり、ミトコンドリアが新しくできた細胞の片方には300個、もう片方には1000個入ることもあるということです。

体細胞分裂について理解できたら、今度は減数分裂にも挑戦してみましょう!

コメント

  1. […] 生物学日誌https://seibutsujournal.com/mitosis/ […]

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