バクテリオファージについて知っておきたい知識のまとめ

バクテリオファージが大腸菌を攻撃する様子(CG)

バクテリオファージは別名・細菌ウイルスとも呼ばれ、細菌に感染するウイルスの総称です。独力では代謝や増殖を行えず、細菌の細胞に侵入し、その仕組みを利用することで「生き延びて」います。ウイルスは生物の特徴の一部しか持ち合わせていないので、生物と無生物の中間にいるよう存在で「生きて」いるようで「生きていない」不思議な存在なのです。一方、細菌はれっきとした生物です。

バクテリオファージの構造と生活環(ライフサイクル)

ウイルスというと単純な構造のように思われるかもしれませんが、ウイルスによってその形は千差万別であり、その中でもバクテリオファージはとても複雑な構造をしています。

バクテリオファージの構造

多面体の頭部の中にDNAをもっており、細菌の表面に付着できるように尾部にはスパイクのついた基底盤と繊維があります。

バクテリオファージのライフサイクル

バクテリオファージは細菌の細胞の表面に付着し、自分のDNAを細菌の細胞の中に注入します。細胞の中に入ったDNAは、細菌のもつ酵素によって転写され、バクテリオファージのタンパク質が合成されます。バクテリオファージのDNAにはファージDNA自体を多量に作る指令も含まれているので、新しく合成されたファージのDNAとタンパク質によって、バクテリオファージが形成されます。そして、細菌の細胞は溶け出し、バクテリオファージが放出されます。

大腸菌に寄生するT4ファージ(溶菌ファージ)の場合、30分もすれば細菌は溶菌されます。つまり、細菌は壊れ、中から約200個ものウイルスが放出されます。そして、その200個がまた別の細胞に感染するのです。

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