ゲノムとは、ある生物を形づくるのに必要なすべての遺伝情報の総量のことです。
ヒトの場合、22本の常染色体の遺伝情報に性染色体(X染色体とY染色体)の情報を足したものがゲノムです。
ゲノムはMbやGbという単位で表されて、ヒトのゲノムの大きさは約3.2Gbです。
ゲノムサイズは生物の種によって異なります。
ウイルスや細菌のゲノムサイズは、ヒトと比べたらかなり小さい場合が多いです。
しかし、複雑な形をしていたり、複雑な機能を持っていなくても、大きなゲノムサイズを持つ生物もたくさんいます。
例えば、イネとトウモロコシはどちらも単子葉類の植物です。
実際、イネとトウモロコシの遺伝子の数はほとんど同じです。
しかし、トウモロコシのゲノムの大きさは2400Mbで、イネは390Mbです。トウモロコシのほうが約6倍もゲノムサイズが大きくなっています。
ヒトのゲノムが3.2Gb(3200Mb)であることを考えると、トウモロコシのゲノムがかなり大きいと思いませんか。
そして、サンショウウオのゲノムサイズは90Gbです。ヒトよりはるかに大きなゲノムサイズです。
なぜ、ずんぐりむっくりのサンショウウオが(失礼かな?)、より大きくて賢いヒトよりもはるかに大きなゲノムを持っているのでしょうね。
これは矛盾しているように思えることから、ゲノムサイズが生物の大きさや複雑さとは関係しないことを遺伝学では「C値パラドックス」と呼んでいます。